ユメで見たあの場所に立つ日まで@夢追い虫

12月25日を以ってスピッツ「さざなみOTR」は全公演を終了した。ま、カスタムは残ってるけど。スピッツのみなさま、お疲れ様。そしてスピッツに関わったすべての人びと、お疲れ様。自分的には沖縄が最後だったので、のちの3公演で何が起こってもそれは夢のなかの出来事と一緒なのだが、セトリを見る限り仙台を聴いて終われていたら嬉しかっただろうな、などとボンヤリ考えた。思えば、すごい勢いで遠くなっていく彼らをこんな風にボンヤリ見送るだけの3ヶ月だった。一緒に走ってるつもりで、自分じゃ何もしていなかったね。結局いつも同じだ。だけど「漣」を聴くたびに、四の五の言わんでも、とマサムネがいうので、明日からもまた黙って歩く。止まらないように。

スピッツをお題に妄想短編。腐?

「もうこの都市(まち)はお終いだ。みてごらん」とマサムネが指差した。マサムネと僕が立っているこの塔の上から、鉄錆色をした建造物が果てしなく並んでいるのが見えた。奇妙に黄色い夕陽が、この都市が近いうちに蜃気楼のように滅びてしまうことを確かに暗示していた。「いろんな思い出があったのにね」僕は、眼下にうごめいている人の群れを見ながらちょっとセンチメンタルになっていた。「けっきょく、ここにも生活と呼べるものはなかったねえ」マサムネのちっとも残念そうでない口調に、僕は少し傷ついた。「ありふれた人生なんてどこにあるっていうのさ?」それには答えず、マサムネは立ち上がってぱんぱんとお尻をはたいた。「さてと」肩甲骨を上下させて翼の調子を確かめた。よくみると3ヶ月前よりずいぶん痩せている。「飛べる?」なんだか心細くなって僕はマサムネに訊ねた。「何年旅してると思ってんの」とマサムネは笑って翼を広げた。「まあ、確かに」ちょっとほっとして僕も立ち上がった。しょうがない、どう足掻いてもこれが僕たちの日常なんだから。そして二人で、塔のてっぺんから気流に乗った。次の都市を目指して。

<妄想短歌>

いるはずのない駅で見る似た人を ここにあなたがいればいいのに

今日こそは言おうと思い家を出て顔見ただけで満ち足りる日々

アパートの前二度通る言い訳を考えながらサプライズ待つ

来世まで待つ気があるので誉めておくあなたの娘はほんとにかわいい

三日月に耳そぎ落とされる帰り道 飛び切り寒いこんな夜には

見ないふりして来たからかまな板の赤い滲みを流し切れずに

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スピ小説スーベニア編

電車の中でヘッドフォンしてMの歌を聴いていたら突然背中に羽根が生えた。その瞬間、「みし」というか「めき」というかそんな音がしたような気がする。

肩甲骨のあたりに力を込めたら肩越しに「ぐぐっ」と白くてごつい白鳥のような翼が見えた。あれあれ。でも願ってもないことだ。これで僕は空も飛べるはず。

あの岸壁から桃色の空めがけて、と思ったら矢も立てもたまらなくなって、僕は海へ向かう電車に乗り換えた。駅からバスに乗り海岸線を進む。

懐かしい崖の上に立つと、翼はいい具合の重みで僕の背筋を伸ばしてくれた。昼の光で2月の空はどんよりしたグレーからちょうどいいかんじの桃色になろうとしていた。ちょっぴり残念だったのは君がここにいないことだったけれど、もうどうだってよかった。いつのまにか自在に動くようになった翼を、力を込めて広げた。

こりゃいけるね。

自然に笑みがこぼれた。ヘッドフォンを外して首にかけた。かすかにMの声がする。まだ歌い続けている。いい風が吹いてきた。ああ、白鳥なんかじゃなくて、僕はカモメになりたい。そして飛んだ。ほんとうにイメージ通りに。

思ったとおり風の音は孤独で、だからこそ君のいう意味がはじめてよくわかった。

<スピ短>

新宿のどこかにキミがいたという事実をこっそりサイフにしまう

(珍しく最近続けて行ったのになー。タワレコかあ。もうしばらく行かないだろうなあ。ツアーだし。ぶつぶつ。)

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